一カ月程前に、証券ライフチャンネルで「ソーシャルレンディング」に関してどう思いますか?
というご質問を頂いて、コメントを出そうと思っていた矢先にソーシャルレンディングの問題が出てきました。
証券取引等監視委員会が、ソーシャルレンディング最大手のmaneoを管理体制不備と資金流用で行政処分するように金融庁に勧告したのです。
この問題だけでソーシャルレンディングが悪者にされるのは、いかがなものかと考えますが、まだ未成熟な投資対象であるのは事実です。
7月6日の日経新聞の記事(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32706290W8A700C1EA1000/)
「証券取引等監視委員会は6日、ネット経由で融資を仲介するソーシャルレンディング最大手のmaneoマーケット(東京・千代田)を行政処分するよう金融庁に勧告した。募集時の説明と異なる目的に流用されたのを見過ごすなど、管理体制に重大な不備があったため。流用額は少なくとも10億円以上で、焦げ付くおそれがあるという。maneoはグリーン社の依頼で、北海道での太陽光発電やスリランカでの水力発電事業への融資名目で年利11~14%で投資家を募集。3084人から約130億円を集め同社に仲介した。だが実際には同社はグループ会社の増資など事前の説明と異なる目的に集めた資金を流用していた。」
私は、金融庁の規制下にある証券会社・銀行・生保が扱っている金融商品以外は
商品の情報公開と管理体制が未整備なので、投資対象としては向かないと考えます。
今回、maneoで問題になった太陽光発電や水力発電の融資案件ですが、これも普段新聞を読んでいればわかる話です。
太陽光発電は、まだコストが高く、利益が出る事業ではありません。2011年に民主党政権が出した、再生可能エネルギーの高額買取があったから事業として成り立っただけで、普通、利益の出る事業ではありません。その買取価格も2012年当時の1kW・40円から、2017年には24円と大幅に下がっています。買取価格が40円だった頃は投資利回りで10%以上の案件は結構ありましたが、今は5%にも満たない状態です。
そのような状況下で、maneoは年利11~14%で投資家を募集していたことがびっくりの事実です。
太陽光以外の何かハイリスクな投資をしなければ、とても年利11%という高いリターンは上げられないでしょう。
そういった単純な図式を考えれば、おかしいことが山ほど出てきます。
こんなことを知っているか知らないかで大きな差になります。
未公開株への投資で、証券ライフにお問合せ頂くことがよくありますが、
「100%詐欺か、詐欺に近い巧妙な手口で、のらりくらりとやられておしまいですよ」とご説明しています。
また、「時間の無駄なので未公開株にはかかわらない方が良いですよ」と付け加えています。(ご理解頂いているかどうかはわかりませんが…)
ソーシャルレンディングに関しては、案件によって考え方が異なりますが、不動産型やブリッジローン型は
割と堅いとは思いますが、高い金利がついているということはそれだけリスクもあるということです。
事業投資型ではお金を「寄付や応援」のつもりで投資するなら良いと思います。
その代わり、全額戻ってくる保証はありません。戻ってきたら、ラッキーといった感覚です。
もともと、銀行がお金を貸さない事業というのは、かなりリスクが高いと思っておいた方が良いと思います。
その点を踏まえて頂いて、もしどうしてもソーシャルレンディングで投資してみたいと思われる方は
無くなっても良いという少額で投資するのが、良いかと思います。
今回のmaneoの件は、管理体制の不備から起こったものと思われますが、
ソーシャルレンディング自体はこれから必要な資金調達の方法だと考えております。
しかし、情報公開やデューデリジェンス、投資案件の魅力度といった点で、
あと10年くらいは様子を見た方が良いのではないかと考えています。
私は、あえて、まだ未整備の金融商品(ソーシャルレンディング)に投資して見えないリスクを取るより、
株式や投資信託など情報公開されている金融商品の方が投資対象としては適していると考えます。