金融商品への投資と不動産への投資は、どちらが良いですかと相談されることが良くあります。相談される方の現在の資産状況を見てアドバイスさせて頂きますが、基本的に私は金融商品をおススメしています。なぜかと申しますと、資産運用の基本は今後長期的に上がる市場(商品)に投資することです。従いまして、上がらない市場に投資をしてもリターンを得られません。その上がらない市場の一つが日本の不動産市場だと考えています。
その理由は、三つあります。
①人口減
②インターネット通販
③働き方改革
その中でも①の人口減が一番インパクトが大きく
不動産価格の上昇を阻む一番大きな要因だと考えます。
人口が減れば、人が住んだり活動する不動産が必要なくなります。
単純なお話です。
米国や欧州の先進国はまだ人口減を経験していないので、
海外先進国の不動産動向は参考になりません。
戦後から一貫して増え続けた日本の人口は、2008年にピークを付け、そこから100万人以上減少しています。
日本は先進国の中で初めて高齢化と人口減を経験し始めている国なのです。
国立社会保障・人口問題研究所の発表によりますと、
日本の人口は2054年には1億人を割り込みます。
2054年は37年後なので、遠い将来のように感じますが、
37年という時間はあっという間に来てしまいます。
皆さん、今の年齢になられるまでもあっという間ではなかったですか?
実はもっと恐ろしいことは、その後です、
人口が1億人を割る2054年からは、10年ごとに人口が1000万人づつ減るのです。
都心部や駅近の不動産は下がらないと言われていますが、
私は都心部も必ず影響を受けると考えています。
今後、5年、10年というタイムスパンでは、人口減が都心部の不動産価格に
及ぼす影響は少ないかもしれませんが、人口が1億2000万人を割り込む14年後あたりから、
間違いなく影響を受けると思います。
今後は地価の二極化ではなく、地価全体に対する下押し圧力が働いてくると考えています。
その背景にあるのは、②インターネットの普及と③働き方改革です。
インターネットの普及により、買い物と仕事のやり方が変わりました。
つまり、今後、ネット通販と在宅勤務の普及により、
店舗不動産とオフィス不動産の需要が減ってくるのです。
買い物では店舗の必要性が最小限になってきています。
現物を見ないと判断できないもの以外はネット通販がメインになって来ています。
今後、VRで実物に近いものを立体的に自宅で見ることができるようになれば、
実物を見ないと判断できない商品も減ってくるでしょう。
そうすると、店舗不動産が余ってくることになるので、不動産価格の下落圧力がかかります。
実際、米国ではショッピングモールがどんどん閉鎖されていっています。
働き方改革に関しては、今後、在宅勤務やフリーランスが増えてくると思われます。
フリーランスの人は自宅とシェアオフィスやスタバ等で仕事をしている人が多いと思われます。
アメリカではフリーランスの人口が5500万人にのぼり、労働人口の35%を占めているといわれています。
今、大企業でも在宅勤務の日数を増やすところが増えています。
そうすると、大企業でも広いオフィスが必要なくなってきます。
この流れはオフィスビルの需要減になり、不動産価格全体への下押し圧力になるでしょう。
いずれにしましても、今の都心部の地価上昇は、
日銀の金融緩和による一時的な上昇にすぎないと考えております。
不動産市場全体は早晩、下落トレンドに向かうと予測しております。