FPの深野康彦氏が書かれた本で、内容は資産運用のプロなら誰でも知っている内容です。毎月分配型投信の功罪は、新聞や雑誌にも取り上げられているので、一般投資家の皆さんもご存じの方が多いと思います。
私は、毎月分配型の投信が悪いとは思いません。お客様によりまして、毎月入ってくる方が良いという方もいらっしゃいます。
重要なのは、その投信がどこに投資しているかです。
投資先が今後上昇を見込めるマーケットなら、毎月分配でも構わないと思います。ただ、実際の運用益以上に分配金を出している場合は、証券会社や運用会社側がもっと説明をしておかねばならないと思います。
深野さんはFPとして有名ですが、相場観が当たるかどうかは良く知りません。
しかし、投資では相場を当てなければ儲かりません。
投資で一番重要なのは、どのマーケットに投資するかです。
その次に、そのマーケットでパフォーマンスが良い投資信託を選ぶのです。
証券ライフでは、まずマーケットの想定を行い、その上で、これから有望なマーケットの中で、パフォーマンスが良い投資信託を選びます。
例えば、証券ライフは今、日本株に強気スタンスをとっております。
その日本株の中でも特に中小型株に強気スタンスをとっています。
そして、日本の中小型株の投資信託の中でパフォーマンスの良い投信を選定します。
そういった具合で、マーケットから個別商品へと落とし込みます。
ですので、FPやファンドアナリストが選ぶ投資信託は相場見通しという言葉が抜けていることが多いので、片手落ちなのです。
片手落ちというより、根本が抜けているのです。
著者は、前半部分で、日本で残高が多い毎月分配型投信の悪い点を挙げて、後半部分で、ご自身がおススメするファンドを7本挙げてていらっしゃいます。
それが以下のファンドです。
1.野村日本不動産投信
2.ニッセイJリートオープン
3.野村先進国ヘッジ付き債券ファンド
4.三井住友・公益債券投信
5.JPM・ベストインカム
6.東京海上・ニッポン世界債券ファンド
7.ノムラ・ファンドマスター世界債券
私は、この中でおススメできるファンドは1本もありません。
まず、野村日本不動産投信とニッセイJリートオープンに関してですが、私は、Jリートは投資信託で投資するものではないと思っています。
配当利回り3~4%のJリートの投信に信託報酬を毎年約1%支払うこと自体ナンセンスです。
買うなら、投信よりJリートを現物株で購入する方が良いでしょう。
しかし、私は日本の不動産市場が既に天井が近づいてきていると予測しておりますので、Jリート自体おススメしません。
JPM・ベストインカムは世界の債券と株に投資するファンドですが、ここ3年弱の運用成果は8%で年率に直すと3%にも届きません。
ほとんど意味のない投資でしょう。
3,4,6,7の投資信託は、債券型の投信ですが、これらはどれも安全かもしれませんが、お粗末なリターンです。
4つの中で一番リターンが高いのは、ノムラ・ファンドマスター世界債券で3年の運用成果は6.4%で年率に直すと約2%です。
その他は3年間のリターンが2.3%~4.6%です。年率では0.7%~1.5%です。
これらのファンドにも信託報酬が毎年1%前後かかっているので、全くもって意味のない投資だと言わざるを得ないでしょう。
私は、債券型の投信は、新興国の債券投信が一番良いと考えております。
その中でも、インドの債券が良いと考えております。
先進国の債券は金利が低くなりすぎて、投資する意味がないのです。
(財団など10億円以上の資金を安定的に運用する場合は別です。)
加えて、米国を筆頭に金利上昇リスクが高まってきているので、債券への投資は慎重に行う局面だと考えます。
そういった意味で、相場を予測できないFPには投資相談はすべきではないでしょう。
深野氏がなぜこのような投信を選ばれたかよくわかりませんが、前半で、毎月分配型の投信を散々批判しておられて、結局、おススメされている投信はお粗末な投信ばかりです。
このような分析からも、知名度のある人がおっしゃっているからといって、話を鵜のみにしてはいけないとご理解いただけると思います。