セブン&アイの鈴木会長の退任は残念でならない。
今回の騒動は「会社」というものは、株主のものであると 改めて思い知らされた一件であった。
セブン&アイは創業家である伊藤雅俊名誉会長とその資産管理会社が 株式の10%近くを保有するオーナー企業である。
外国人投資家が36%保有しているとはいえ、 単独で10%の株を保有している株主は伊藤家以外にない。
鈴木会長がこの40年間セブンイレブンを大きく成長させる間に 銀行からお金を借りてでも自社株を買い増し、大株主になっていれば、 今回の問題も違った展開になっていただろう。数多くの実績を残してこられた鈴木会長の功労は言うまでもない。
しかし、セブン&アイの支配権は伊藤家が握っていたのである。
マスコミや学者・評論家はコーポレートガバナンスが何だかんだと 言っているが、本質は鈴木会長が伊藤家から排除されたのだ。
背景には後継者問題があったと思われる。 伊藤雅俊名誉会長のご次男である伊藤順朗氏が 現在セブン&アイの取締役として入っている。 鈴木会長のご子息・鈴木康弘氏も現在セブン&アイの取締役である。
息子に事業を継がせたいと思うのが親心であり、 鈴木会長としては今まで築き上げたセブン帝国を息子に 譲りたいと思ったのだろう。
しかし、会社は大株主が一番力を持っている。
いくら鈴木会長が「私は全人生をセブンイレブンに捧げ、 私の先見の明、リーダーシップ、決断力が セブングループをここまで大きくしたのだ!」と訴えても、 大株主が「今まで、ご苦労さん、後はこっちでやるから」と 言われたらおしまいである。
鈴木会長は伊藤名誉会長からの絶大な信頼ですべてを任せられ、 大株主ではなかったが、オーナーのように大胆な決断ができた。
それが今のセブングループの礎となった。 その実績がこのような形で終わってしまって 鈴木会長が不憫でならない。 せめて、もう少し時間をかけて話し合いの場を持ち、 退任するにしても花道で飾ってお送りできなかったのだろうか?
私は今までセブン&アイの株は魅力的だと思い、 お客様にもおススメしていた。それは鈴木会長がいらっしゃったからである。 小売りという競争が激しい業界は 強烈なリーダーシップで即断即決していかなければ 生き残っていけない。 次にセブングループを率いる経営者にそれができるだろうか?
鈴木会長は83歳と高齢であったが、 強烈なリーダーシップでセブングループの舵取りを行ってきた。 企業経営に年齢は関係ないと思う。 むしろ、年齢を重ねた方が良い判断ができると私は思う。
さて、鈴木会長が退任されると決まった今 セブン&アイはどのような会社になるのだろうか? 様子を見守りたい。
少なくとも投資対象としては面白味が無くなったと感じる。